【他職種との連携⑤】~生活を支えるために欠かせない福祉用具専門相談員~

訪問診療を続けていると、医療だけでは解決できない課題に出会うことが少なくありません。

たとえば「起き上がれない」「転倒が増えた」「トイレまで歩けない」「ベッドからの移乗が怖い」——こうした悩みは、薬やリハビリだけでは十分に改善できない場合があります。

そこで頼りになるのが、福祉用具専門相談員です。

最近では、中井・上落合・下落合・中落合エリアで訪問診療を行っている患者さんの自宅にも伺い、相談員さんと一緒に環境確認をしながら、生活に合った福祉用具の提案を行いました。

▼ 生活の安全性と自立を支える重要な役割

福祉用具専門相談員は、ただ道具を貸し出すだけの職種ではありません。
その方の生活導線や身体状況を踏まえ、**「その人ができるだけ自分らしく過ごせる生活設計」**をサポートする専門家です。

提案される用具の例として:
• 介護ベッド(高さ調整、サイドレール付き)
• 手すり(トイレ・浴室・玄関・ベッド周り)
• 歩行器やシルバーカー
• 車椅子・クッション・マットレス
• 介助式/自走式の移動補助器具

これらは転倒予防だけでなく、「できないことを減らす」のではなく**“できることを増やす”**役割を担っています。

▼ 福祉用具選定は医療と連携するほど効果的

訪問診療では、医師・訪問看護師・リハビリ職・ケアマネジャー・福祉用具相談員が連携し、常に最適な環境を考えます。

特に、
• 心不全やCOPDで息切れが強い方
• 脳梗塞後遺症で麻痺がある方
• 認知症で動作に迷いが出る方
• 骨粗鬆症や転倒後で動作が慎重になっている方

などは、福祉用具の選定と調整が生活の質を大きく左右します。

中井や下落合エリアで実施したケースでは、歩行器を変更するだけで屋内移動時間が短縮され、夜間トイレの不安が改善し睡眠の質まで向上した方もいらっしゃいました。

▼ 導入後のフォローアップも強み

福祉用具専門相談員は、納品して終わりではありません。
• 使用状況の評価
• 高さ調整や配置変更
• 身体状況の変化に応じた入れ替え

こうした継続フォローがあるため、状態変化の多い在宅医療では非常に心強い存在です。

おわりに

訪問診療は、医療行為を提供するだけではなく、生活を支える医療であるべきだと考えています。

中野区・新宿区周辺(中井、上落合、東中野、百人町など)で訪問診療を受けられている方の中には、すでに福祉用具の導入で生活が大きく変わった患者さんも多くいらっしゃいます。

もし「生活動作が以前より大変になった」「転倒が不安」「自宅での安全性に不安がある」と感じられる場合は、遠慮なくご相談ください。

適切な多職種連携で、その方に合った生活環境を一緒に整えていきます。

よつば中野クリニック

院長 手塚匠海