【訪問診療でよく見る病気⑥】~圧迫骨折と在宅医療の役割~

圧迫骨折は、高齢者に多く見られる骨折のひとつです。転倒や尻もちといった軽微な外傷でも、骨がもろくなっていることで背骨が押しつぶされるように変形し、強い背部痛や腰痛を引き起こします。

長期入院が困難なケースも。。。

こうした骨折の多くは、保存的加療と呼ばれる方法(安静、コルセット装着、痛み止めの内服など)で対応されますが、手術を伴わない保存的治療では長期入院が認められにくいという医療制度上の課題があります。急性期病院では、状態が落ち着くと早期の退院を勧められることも少なくありません。

しかし、退院後すぐに普段の生活に戻れるかといえば、そう簡単ではありません。動くと痛むため、寝たきりに近い状態が続くと、**廃用症候群や誤嚥性肺炎、褥瘡(床ずれ)**といった合併症のリスクが高まります。適切な医療フォローがないまま無理に生活を再開してしまうと、かえって体調を崩して再入院…という悪循環にもなりかねません。

ご自宅での生活を支えるのが在宅医療の使命です

このような場面で、在宅で医療を受けられる訪問診療が力を発揮します。私たちは、ご自宅に伺って痛みの評価や内服調整を行いながら、生活環境を整えるアドバイスやリスク予防の視点も大切にしています。

また、ケアマネージャーと密に連携し、必要に応じて訪問看護や訪問リハビリの導入、福祉用具の手配などもご提案します。たとえば、手すりの設置やベッドの調整、トイレの動線改善といった具体的な環境整備が、患者さんの安心につながります。

圧迫骨折そのものは命にかかわる病気ではありませんが、適切な支援がなければ生活の質を大きく損なう原因になり得ます。だからこそ、「家で安静に」と言われた方ほど、医療者が継続的に関わる意味は大きいのです。

お困りの方はご遠慮なくご連絡ください

中野区、新宿区周辺で訪問診療をご検討の方、退院後の生活や介護に不安を感じておられる方は、ぜひ一度ご相談ください。ご本人とご家族が安心して過ごせるよう、医療の面からしっかりとサポートいたします。

よつば中野クリニック 院長 手塚匠海